2005年10月09日

高熱隧道

吉村昭

このあいだBSで,劔岳の特集をやっていた。なんでも100年前まで劔岳は未踏の山で,それは立山信仰に関係していて云々,,それに対して参謀本部陸地測量部(いまの国土地理院?)の測量技師が挑んで山頂に三等三角点を設置しようとし,登頂ははたしたものの標柱の設置は厳しい条件下により断念し,四等三角点の設置と標高の測定を行ったそうだ。現在はGPS測量のため意味がないのだが,このときの悲願である三等三角点の標柱を人力で運んで設置し,正確な標高の測定もやりなおすことになった,,,という番組だった。そこでさっそく新田次郎氏の劔岳,点の記を読んでみた。本格的な山登りはまだしたことがないが,日本の山でもなめているとすぐ死の危険にさらされることぐらいは知っている。とくにこの立山連峰あたりは,想像を絶する人を寄せ付けない世界らしい,そういえばずーっと以前にすごく印象に残る本を読んだのを思い出した。

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一般に黒部峡谷というと黒四ダムが有名だが,実際の工事の大変さという点では,それ以前の黒三ダムのほうがよほど過酷なものだったらしい。本のタイトルどおり,トンネルを掘っていくときに岩盤の地熱が異常に高かったらしく,ダイナマイトの不正爆発が頻発する。また泡雪崩という,この地域特有な異常に高いエネルギーをもった雪崩によって鉄筋4階建ての宿舎が根こそぎ吹き飛ばされる。これらにより300人以上もの人命が失われながら,戦時体制下における電力需要の増加に対するプレッシャーの中やっとの思いで完成する話。ぼくが読んでどういう気持ちになったかは記さないが,こんな悲惨な話はなかなかあるものではない,ぜひ一読されることをお勧めする。

吉村昭氏のノンフィクションものは,きちんとした取材と淡々とした描写で実際の話は結構ドロドロぼくは好きだ。ほかにも破獄なんかもすごい話で,パピヨンアルカトラスとどっちがすごいのだろうか?


posted by at 22:18| 広島 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本を読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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