2005年05月27日

大きなレースの後はよく休みましょう

アイアンマンを走られた方,お疲れさまでした。レースの後はよく休みましょう!!

なんかバカみたいですが,これはものすごく本気です。ロングのトライアスロンレースという競技は,とてつもなく身体に深い疲労を刻みこみます。それは,通常の想像を絶しています。ぼくがよく見る光景として,レース後の疲労回復期間をあまりにも少なく設定している人が多すぎます。

1980年代(瀬古選手の時代)に活躍したマラソンランナー,アルベルトサラザールの本には,フルマラソンのあと8週間かけて通常のトレーニングに戻せと書いてあります。その内訳は,

2週間はまったく走るな,3週目が通常の33%量に…8週目までスピードトレーニングは一切なし

というものです。一般的にフルマラソンを走り終えた直後,CPK(筋破壊を示す)の値は通常の血液検査の上限をはるかに超え,’上限の’一ケタ上,数千の数値を示します。CPKは比較的早く低下しますが,一般的な検査では現われてこない部分にもしっかりダメージは残っています。さすがに8週間というのは念入り過ぎるかもしれないですが,実際フルマラソンを走り終えて筋肉痛もすっかり消えたレース10日後や2週間後ごろにどうもだるい,調子が悪い等の経験をしたことはないですか?その反応は実にノーマルなもので,ズバリまだ疲れているのです。昨年末のホノルルマラソンではじめてフルを完走した女の子の中にも,レース直後に仕事が忙しかった結果2月半ばまで体調不良に悩んだりした子がいました。

それではトライアスロンの方がスピードが遅い(負荷が低い)のでダメージが少ないでしょうか?実はロングのトライアスロンの直後は,CPKは1万近い数値を示す場合があるのです。筋肉痛自体は1週間もすれば落ち着くでしょう,しかし身体の奥深い部分に刻まれたダメージはそんな期間では回復しません。以前スティーブンシェルドレイク(NZのプロ,今年もハワイクオリファイ済み)は,シーズン中でもアイアンマンの後1週間は何もしない,その後2週間は徐々に身体を動かすが決して負荷をかける練習はしない,といっており,ぼくはこれをできるだけ忠実に守っています。これを守るようになる前には,無理を重ねた結果レース後2〜3ヵ月後まで絶不調を引きずった経験もあります。ぼくはそのぐらいで済んでよかったのですが,年単位で不調を抱え込む人もいますし,数年でバーンアウトして競技から去っていく人もいます。実際にぼくの場合,ロングから順調に回復しても,レース2週間後ぐらいが一番しんどい体調です。キャメロンブラウンも,ハワイの後は1ヶ月なにもしないというようなことを言っていたように思います。

通常,その人にとって無理なくこなせるトレーニング量が多いほど,レース後のダメージは少ない傾向にあります。これはゴールタイムが速い遅いとはあまり関係ありません。実業団のランナーがマラソンを2時間10分で走ろうが,ぼくが2時間40分で走ろうが,ダメージ的にはそう変わらないかむしろぼくのダメージのほうが大きいかもしれません。週40時間練習しているスティーブンの場合で3週間のリカバリー期間を取るわけですが,たかだか週10時間程度の一般の人がはたして1〜2週間程度でロングのレースから完全に回復するでしょうか?

一般に日本人のプロ(やトップ選手)の習性として,’自分を大きく見せたがる’というものがあります。最近わりと簡単に見られるネットのコラムや雑誌の記事では,とてつもなく回復が早いことになっていたり,ものすごい練習量だったりします。しかしそれなら彼らはなぜ世界の舞台では世界標準の活躍ができないのか??これらを鵜呑みにするのは非常に危険です。ぼくが見た中では谷新吾さんが正直に,’レースの翌々週が一番疲れが出て何もできなかったりする’,などということを書いておられました。これがプロの選手でもノーマルな反応だと思います。

8週間の間隔でロング2本に出る場合,ぼくなら3週間はきっちり休み,2週間そこそこ上げてしかしよくばらず,3週間テーパーでレースに出ます。この2つのレースの間に実力アップは不可能で,もし結果として実力アップしていたのならそれは1つ目のレースの前の練習が’やりすぎ’だったのでしょう。1ヶ月間隔のレースなら(今までやったことはありませんが),前に出る方のレースは練習にするか,後ろの方のレースは遊んでいてもオッケーな場合(たとえばそのエイジグループでずば抜けた力を持つ人がハワイをゲットするために出るとか)です。一般社会人の限界として,年間ロング3本が身体的に限界だと思っています。無理をすれば数年は保つかもしれませんが,10年は保たないと思います。とくに,練習はがんばっているのに数年前より実力が落ちているような人は要注意です。

レース後のことだけでなくレース前のテーパーでも同じことが言えるのですが…それはまた今度,とにかくみなさんしっかり休みましょう!


posted by at 23:00| 広島 ☁| Comment(6) | TrackBack(1) | トレーニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コーチのいない人や、チームはしっかりセルフチェックできる環境手に入れないと、周りにつられて連戦、練習する人も多いですよね。
昨秋に、筑波マラソン走った週に私のハーフのペース走についてきて(フルの後は3週間目にどかんとくるから休んだ方がいいと言ってもきかず)おまけに3週間後に加古川フル、その後もハーフ、5kなどなど織り交ぜながら年始からマイコプラズマぽい症状が続いて下降線だったようで、ついにエンジョイでいいわと所属チーム辞めてしまったようです、、、。

「運動、食事、休養」そのベースに「目標設定、達成欲(モチベーション)、現状分析(フィードバック)」それのバランスがとれていない人が多いですよね。何時間運動したとか、距離どれだけ走ったとか、、、そういう人は多いですが。
私が血液検査とHRM活用していても誰も関心示しません(笑)あーこわ。
Posted by 松村 at 2005年05月28日 09:30
なんでも,進歩したければ自分で知ろうとするものだと思うし,それらも含めてその選手の実力なんでしょうね。
Posted by ギン前田 at 2005年05月28日 16:12
トライアスロン 疲労でひっかけましてたどり着きました。
とても参考になりました。
勝手にリンクを貼りつけ文章を抜粋してしまいました。
問題あるようでしたら取り消しますのでご連絡ください。
ロングの疲労がここまですごいとは驚きました。
Posted by ゆこぱんだ at 2005年09月16日 17:49
どうも,ネタ元さえ書いといていただけたら,ぜんぜん問題ないですよ!ぼくも自分ですべてを実験したわけじゃないですから…

数値はわりとすぐ落ち着くんですが,数値にあらわれない疲労があって,しかも気付きにくいんですよ。本などでオーバートレーニング関係の部分を調べられたらいいと思いますよ。
Posted by ギン前田 at 2005年09月16日 18:05
ありがとうございます。
いろいろトライアスロンのことも含め、詳しく掲載されていたので、今後もちょくちょく ブログ訪問させていただきます^ー^v!
Posted by ゆこぱんだ at 2005年09月16日 19:26
どうもありがとうございます,覗いてみて下さい!!!
Posted by ギン前田 at 2005年09月16日 20:24
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Excerpt: 全文コピペしようかと思う内容なので前田さんの投稿大きなレースの後はよく休みましょうをみなさん読みましょう。中の言葉CK(CPK)の意味がわからないというのはちょっと勉強不足に思いましょう。 そろ..
Weblog: 松村組
Tracked: 2005-05-28 09:43
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