大阪には辻調理師専門学校なるものがあり(同じ大阪の辻学園〜とは違う),そこの先生方はよくテレビにも出演している。現在にまでその崇高な精神が受け継がれているかどうかは知らないが,この学校の創業者は今は亡き辻静雄という人だ。この本はその辻静雄氏の半生を元にした伝記小説である。10年ぐらい前に図書館ではじめて読んだときはハードカバーだったが,現在では文庫になっている。
ぼくは食いしん坊なので,料理の本も結構読む。作り方の本も好きだが,料理の歴史や知識,文化といった内容も好きだ。日本ではなんでもかんでもインスタントで,ホンモノが少ない。町並み,建物の質感,家具,音楽,テレビ番組,料理,コーチ(笑)なんだってそうだ。もちろん,ホンモノは無駄が多かったりすることもあるし,ニセモノでも用は足せるのだ。しかし,人間の文化とは用が足せればいいものだろうか?もちろんぼくは若者で貧しいので,ホンモノに触れる機会はごく少ない。しかし,ホンモノが存在することは知っておきたいと思う。
辻静雄氏は,この役に立つかどうかわからないホンモノを料理の分野でとことん追求した。人によっては,ただのいやみなヤツに感じるかもしれないが,そう思う人は損な人だ。この伝記本で辻静雄氏に興味を持ち,いろいろな本を読んだが,最近またまた文庫で再発されたのを本屋で見かけたのですぐ買った。2冊を1冊にまとめたものが3冊シリーズでかなり量がある。おすすめです。



