2004年12月30日

花神

司馬 遼太郎

  

はながみではなくかしんと読む!中国で花咲か爺さんのことをそういうのだそうだ。幕末に活躍した長州人の大村益次郎の物語。蘭方医をめざして勉強していたところから,時代の要請によってどんどん重い役割を担うようになり,長州征伐において長州軍をを指揮し,戊辰戦争の官軍総司令官となる。

大村益次郎自身は権力欲のようなものは一切なく、ただ機能的合理的に世の中を動かしていくだけであるが,話としては非常におもしろい。司馬遼太郎氏の小説は,どれもおもしろく,主人公に感情移入してしまう。そしてそこらへんの歴史の研究者などではどうにもならないほどの膨大な資料の裏付けがあるため,それが実際にあったことのように錯覚してしまう。

しかし,ただおもしろい,それだけではちとまずい気もする。下巻において,益次郎がアイルランド人船長と船の中で語り合うシーンに於いて,益次郎の台詞は司馬遼太郎氏自身の語りたい台詞であろうが,現実をやや理想化しすぎているようで不満だ。ついこのあいだ,’坂の上の雲’を何度目か読み終えたときにも,司馬氏の主張が非常に強くあらわれた箇所がたくさん目についた。

ぼく自身,とくに司馬氏の見方が偏りすぎていると思うほどではない。しかし世の中では,知らずと洗脳されていることはよくあることで,そうならないよう,いろいろな知識を持つことによって気をつけなければいけない。テレビのニュースキャスターのようなくだらない存在はもちろんのこと,新聞だって公平な立場でモノを書いたりはしていないのだ。

そこらへんがわかって読もうがわからなくて読もうが,その人の勝手でどうでもいいのだが,小説としてワクワクしておもしろいことは間違いない。広島〜山口方面の地理もたくさんでてくる。



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