
写楽の正体について推理した書。この謎についてはさまざまな人がいろいろな説を出しており,松本清張氏も写楽の謎の一解決という本を書かれている。ぼくは浮世絵師についての知識がないため,あまりよく分からないのだが,いろいろな説のなかではこの梅原氏の説がいちばん納得できるものではある。
ところで,その写楽の謎はイマイチぼくにとってはどうでもよくて,この本を読んで昔の歌舞伎役者のことについて少し知識を得ることができた。すなわち,五代目市川団十郎が晩年には市川鰕蔵と名乗り,
寛政六年(1794)市川鰕蔵(54歳)の竹村定之進↓↓

一度隠居したものの,六代目団十郎が急死したために,孫の七代目団十郎を助けて市川白猿と名乗って舞台に復帰した,とか,
享和二年(1802)市川白猿(62歳)の悪七兵衛↓↓

最も有名な写楽絵と思われる,三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛↓↓
は後に改名して二代目中村仲蔵と名乗り,それがはじめに掲げたこの本の表紙の2枚の絵だったり,とか,なかなかおもしろい。
とはいっても,さいきんの歌舞伎役者にはピンと来ないし,舞台の筋書き的にも江戸の町人にはウケたのかもしれないが,ぼくには能ほどの興味が持てていないので,未だその程度でとどまっている。。。
【関連する記事】